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昔遊び紹介・その2
[みつびし]について


 いわゆる昔遊びというやつは、子ども同士が互いの個性や能力を把握し合ったり、社会生活の基礎を学んだり、友だちといるって楽しいなぁとか思えるようになったり、自分の能力の限界に気づけたり、グループ内での役割分担上の自分のポジションがそれとなくわかったり、などなど、子どもを育む上で欠かせないものです。
 このページでは、昭和40年代の、大阪は松原市近郊のローカルルールを中心に、全国の友人たちからの情報を加味しつつ、昔遊びの紹介をしていきたいと考えています。



○第2回目としてご紹介するのは、鬼ごっこと陣地取りが合体したような遊び、「みつびし」です。遊びの解説書とかでもあまり見かけたことがないのでかなりローカルな遊びかもしれません。

文字どおり、地面にみつびし(三菱)を描くとこから始まる遊びです。3つそれぞれのひし形が陣地になるので3人でしかできません。4人でどうしてもやりたい場合はよつびしというのも可能ですしやったこともありますが、5人となるとさすがに無理で、2人というのも味気なさすぎてオススメできません。遊び方&ルールはこんな感じです。

    1真上から見るとこんな形の図を地面に描いてからスタートします。みつびしのひし形それぞれの先に円がひとつくっついた形。ひし形ひとつとそこにくっついた円ひとつがそれぞれの陣地です。
    ひし形の大きさは、長い方が手のひら2つ分くらい。ひし形は3つとも年長さんがひとりで描いてしまう方がいいでしょう。
    円の描き方にはルールがあって、自分の足のカカトをコンパスの針に見立てて、足の親指の先に手の親指をくっつけて、手をピストル型にしてその銃身に当たる人差し指の先でクルリンと円を描くのです。年齢・体格があまりに違う相手とやるときは、小さい子が棒とかを持って円を描くようなことも認めてました。

    2それぞれのひし形に片足を置いた状態でジャンケンをします。負けた人がオニです。勝った人は自分の陣地内を逃げます。とは言っても最初は円がひとつ分しかないのでその円ギリギリで体をそらすしかありません。オニは自分の陣地内から逃げる相手にタッチします(じゃんけんが終われば別にひし形に足を置いていなくても陣地内のどこからでもタッチしてOK)。オニにタッチされるとアウトということになります。陣地から出てしまった場合、それをアウトとするルールと、元に戻って続きをやるルールと両方あったように思います。オニが1回にアウトにできるのはひとりだけです。(2人ともアウトにできるというルールでやることもありました)
    3アウトを取ったオニは自分の陣地の円をひとつ増やすことができます(2人アウトにできるルールだとアウトにした人数分増やせます)。ここでわかるように、最初はジャンケンに負けた方がだんぜん得です。
    オニがタッチできずギブアップすると、タッチされなかった人(セーフの人)が自分の円をひとつ増やせます。

    4陣地の円が3つ以上になるとルールが少し変わります。相手の円が3つ以上になっていると、オニは陣地のどこかに足を付いた状態で地面に寝そべることができます。体は陣地の外に出ていてかまわないということになります。逃げる方はそれまでと同じで陣地から出ることはできません。身長にもよりますが、円4つくらいまでなら腕を伸ばせば届きますから、そのあたりまではいかにうまいタイミングでジャンケンに負けるかという勝負だったりします。
    5陣地となる円はまっすぐ伸ばしていくばかりでもありません。ある程度逃げ道を確保したら、適当なところから枝分かれさせて相手の陣地を包囲するようなことも考えます。逃げたり追ったりする反射神経&運動能力と、陣地取りの頭脳戦が混じってくるところがこの遊びのおもしろいところです。敵が2人いるというのがミソで、うまく陣地を取っていかないとどんどんじり貧になっていきます。

    6終わり方。敵に囲まれて自分の陣地が増やせなくなればそれでこのゲームは終わりです。それ以前に誰かが一方的に負けるような状況になっていれば自然消滅的に「もう終わろう」ということにして、イチからまた始めるか、別の遊びに移行するのが普通でした。陣地が大きくなりすぎるとつまならくなってくるというのもありますし、また、3人だけで公園やグランドを使っているなんてことはまずないので他の子たちの遊びの中で陣地が消されていったりもしますからね。
    この遊びは、小学校の高学年にもなるとやってなかったように思います。身長差が大きくなるからでしょうか? 今思えば、身長や腕の長さが勝敗に大きく影響する実に不公平な遊びですが、子どもっちゅうのはそういうのはあんまり気にして生きてないようで…。

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